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糖尿病ってどんな病気?基本を知ることが治療への第一歩

糖尿病ってどんな病気?基本を知ることが治療への第一歩

糖尿病という言葉はよく耳にするけれど、具体的にどんな病気なのか分からない方もいらっしゃるかもしれません。糖尿病を治療するには、まずはどんな病気か知ることが大切です。この記事では、糖尿病になると体に何が起こるのか、そしてどのように治療していくのかを分かりやすくご紹介します。

糖尿病とは何?

糖尿病とは、血糖値が高すぎる状態が慢性的に続く病気です。

食事から摂ったブドウ糖は、私たちの体のエネルギー源になります。このブドウ糖が血液中に取り込まれると「血糖」となり、その濃度が「血糖値」です。健康な体では、膵臓から出る「インスリン」というホルモンが、血液中のブドウ糖を細胞に取り込んだり、余分なブドウ糖を貯蔵したりしています。

しかし、インスリンがうまく働かなくなると、ブドウ糖が細胞に入っていけず、血液中にあふれてしまいます。この高血糖状態が、糖尿病なのです。

糖尿病には大きく分けて二つのタイプがあります。

1型糖尿病

自己免疫疾患などにより、インスリンを分泌する膵臓の細胞が破壊され、インスリンがほとんど作られなくなるタイプです。子どもや若い人に発症することが多いですが、成人でも発症する場合があります。インスリン注射が必須となります。

2型糖尿病

生活習慣の乱れ(過食、運動不足など)、肥満、遺伝などが原因で、インスリンの分泌量が不足したり、インスリンが効きにくくなったりするタイプです。日本人の糖尿病のほとんどがこのタイプです。

糖尿病の何がいけないの?

糖尿病は、すぐに命に関わるような自覚症状を伴うことは少なく、初期はほとんど症状がありません。しかし、それが糖尿病の怖いところです。高血糖状態が長く続くと、全身の血管や神経がダメージを受け、さまざまな合併症を引き起こします。

主な合併症は以下の3つで、「し・め・じ」と覚えることもできます。

し:神経障害

手足のしびれ、感覚の麻痺、立ちくらみ、便秘や下痢といった自律神経の不調など。

め:網膜症

目の奥にある網膜の血管が傷つき、視力低下や失明に至ることもあります。

じ:腎症

腎臓の機能が低下し、老廃物が排出されなくなり、最終的には人工透析が必要になることもあります。
これら以外にも、脳梗塞や心筋梗塞といった大血管障害のリスクを高めたり、足の壊疽(えそ)を引き起こしたりすることもあります。

糖尿病は治る?どう治療していくの?

残念ながら、一度発症した糖尿病は、現在の医学では完全に治せません。しかし、適切な治療を継続することで、合併症の発症や進行を予防・遅らせることが十分に可能です。

食事療法

血糖値のコントロールにおいて最も重要です。何を、どれくらい、どのように食べるかを見直します。バランスの取れた食事を心がけ、ゆっくりよく噛んで食べるなど、日々の食習慣を改善します。

運動療法

血糖値を下げる効果があり、インスリンの働きを良くします。ウォーキングや軽めのジョギング、水泳などの有酸素運動を中心に、無理のない範囲で継続することが大切です。

薬物療法

食事療法や運動療法だけでは血糖コントロールが難しい場合に、飲み薬やインスリン注射などが用いられます。薬の種類や量は、患者さんの状態に合わせて医師が慎重に判断します。

これらの治療を組み合わせ、定期的に医療機関を受診して血糖値や合併症の検査を行うことが、糖尿病と上手に付き合っていく上で不可欠です。

糖尿病治療は焦らずじっくりがポイント

糖尿病は生活習慣病としての側面が強く、ご自身の努力や意識が治療の成果に大きく影響します。日々の生活の中で、自分の体と向き合い、健康的な習慣を続けることが、合併症のない健やかな未来へと繋がる道となるでしょう。



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